初節句-桃の節句と端午の節句-

公開日: : 最終更新日:2016/03/24 人生の祝い事

初節句のお祝い

初節句の祝い方

女の子なら3月3日のひな祭りを、男の子なら5月5日の端午の節句を初節句として祝います。しかし生まれて間もない場合は、翌年にしてもかまいません。
祝い方としては、女の子はひな人形を飾り、ひなあられやちらしずし、白酒などを、男の子は武者人形やこいのぼりを飾って、かしわ餅やちまきを用意して祝うのがならわしでした。
現代風の祝い方としては、両親や祖父母、兄弟や甥姪、親しい友人などを招いて、子どもの好む料理や手作りケーキなどで、パーティー形式にしても楽しいでしょう。

ひな祭りの由来

ひな祭りは桃の節句とも言われ、もともとは女の子のためのお祭りではなく、邪気が入りやすい季節の節目や変わり目に、穢れを祓い、災難や厄から身を守り、よりよい幕開けを願うための儀式だったそうです。
上巳の節句で身がわりとして使う「ひとがた」と、ひいな遊びのお人形が結びつき、人の厄を受ける男女一対の紙人形が誕生します。これが、ひな人形の原型と言われています。

上巳の節句

上巳(じょうし/じょうみ)とは、陰暦3月の最初の巳(み)の日を指します。
3世紀前後の古代中国では、「季節の変わり目は災いをもたらす邪気が入りやすい」と考えられ、上巳に水辺で禊(みそぎ)を行ったり、川の上流から盃を流して自分のところに流れ着くまでに詩歌を読む「曲水の宴(きょくすいのうたげ)」を行う風習がありました。これがやがて遣唐使によって日本に伝えられます。
日本における上巳の節句とは、三月上旬の巳の日に、草や紙で「ひとがた」という人の形を作り、自分の体を撫でて穢れを移し、川に流すことで厄払いや邪気祓いを行う風習となりました。
当初は、天子(天皇)をお祓いするための儀式でしたが、平安時代には宮中行事へと変化したといわれています。
今でも一部地域でみられる「流し雛」は、この名残といわれています。

雛あそび

平安時代、「ひとがた」とは別に、宮中では「ひいな遊び」というお人形遊びが盛んになりました。
「雛(ひいな)」は小さくてかわいらしいものという意味で、ひな祭りの「ひな」の古語です。

現在の形へ

江戸時代になると、人形作りの技術が向上し、立派な人形が作れるようになると「流す」ものから「飾る」ものに変化していきました。
上流階級では、嫁入り道具として豪華なひな人形を持たせるようになり、婚礼の様子を模したものが好まれるようになりました。
自然とひな人形が豪華になっていく流れの中で、「内裏雛(だいりびな)」だけだったものが、複数段のひな段を飾るようになっていきます。これが、ひな祭りの由来と言われています。
女の子が生まれると初節句として、ひな人形を用意し、「子どもに災いがふりかかりませんように」、「美しく成長して幸せになれますように」という願いを込めてお祝いをする風習が広まっていきます。
こうしてひな祭りは、祓いの儀式から徐々に形を変え、女の子の成長と幸せを願うお祭りとなって庶民の間にも定着していきました。

端午の節句の由来

もともとは古代中国の行事でしたが、奈良時代のころに日本で広まりました。
諸説ありますが、旧暦では午の月は5月にあたり、5月の最初の午の日を節句として祝っていたものが、のちに5が重なるこの月の5日が端午の節句の日になったという説と、もともと「端午」は月の始めの午の日のことでしたが、のちに「午」は「五」に通じることから毎月5日となり、その中でも数字が重なる5月5日を「端午の節句」と呼ぶようになったという説があります。

季節の変わり目である端午の日に、病気や災厄をさけるための行事がおこなわれていました。
当時は邪気を避け魔物を祓う薬草とされていた菖蒲を飾ったり、湯に入れて菖蒲湯として浴したり、浸した酒を飲んだりという風習がありました。
古来おこなわれていた宮廷での端午の行事も、鎌倉時代ヘと移り変わってゆくにつれ、だんだんと廃れていきますが、武士のあいだでは、「菖蒲」と「尚武(武士を尊ぶ)」をかけて、端午の節句を尚武の節日として祝うようになっていきます。
江戸時代には徳川幕府の重要な式日が5月5日と定められ、大名や旗本が式服で江戸城に参り、将軍にお祝いを奉じるようになりました。また、将軍に男の子が生まれると、玄関前に馬印(うましるし)や幟(のぼり)を立てて祝いました。
やがてこの風習は武士だけでなく、庶民の間にも広まっていきます。
はじめは、玄関前にのぼりや吹き流しを立てていたものが、やがて厚紙で作った兜や人形、また紙や布に書いた武者絵なども飾るようになっていきました。さらに江戸時代中期には、武家ののぼりに対抗して、町人の間では鯉のぼりが飾られるようになりました。
このような時代の変化のなかで、薬草を摘んで邪気をはらうという端午の行事が、男の子の誕生の祝いへと結びついていったと考えられます。

ちまきの由来

紀元前3世紀の中国、楚の国王の側近に屈原(くつげん)という詩人がおりました。
屈原は、その正義感と国を思う強さで人々から大変慕われていましたが、陰謀によって失脚し、国を追われてしまいます。国の行く末に失望した屈源は、汨羅江(べきらこう)に身を投げてしまいました。
その日が5月5日。屈原の死を悲しんだ国民たちは、船の上から太鼓を叩いて魚をおどしたり、ちまきを川に投げ込み魚が屈原の遺体を食べるのを制したのが始まりと言われています。
ある日屈原の幽霊が現れ、「せっかく川に捧げても、蛟龍に食べられてしまうので、龍が苦手にしている楝樹(れんじゅ)の葉で餅米を包み、邪気を払う五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛ってから川へ流してほしい」というので、そうしたところ、無事に屈原のもとへ届くようになったそうです。
これに由来して、災いを祓い、子どもが無事に育つように、ちまきを作って5月5日に食べるという起源となりました。
この災いを祓う五色の色は、魔よけの意味を込め、鯉のぼりの吹流しの色に反映されています。

かしわ餅の由来

かしわ餅は日本独特のものです。
かしわ餅のを包む柏は昔から神聖な木とされ、新芽が出ないと古い葉が落ちないため「子どもが生まれるまでは親は死なない」、すなわち「家系が途絶えない」「子孫繁栄」に結びつき、端午の節句の縁起のいい食べ物となりました。
また、柏の木に神が宿っていることから「拍手(柏手)を打つ」と言う言葉がうまれました。
また、かしわ餅には葉を外表に巻いているものと、中表に巻いているものがあります。
これは、中身の違いを表しており、小豆あんのときは柏の外表にし、味噌あんなら中表に巻いてあります。

初節句の贈り物

昔から初節句には、女の子の場合は、母親の実家からひな人形を、男の子の場合は、祖父母などの近親者が五月人形やこいのぼりを贈るならわしがありました。
しかし、住宅事情や、親世代の好みの多様化もあり、先方の意向を聞いてから贈るのが一番いいのではないでしょうか。また、品物ではなく、現金を贈るのも喜ばれます。

初節句の祝い金の目安

贈る側 金額の目安
親族 3,000~3万円
兄弟・姉妹 3,000~2万円
勤務先関係 3,000~5,000円

初節句のお祝いの適期

節句(女の子なら3月3日、男の子なら5月5日)の1ヶ月前ごろ。

祝儀袋の種類

syugi_cho 水引 / 紅白の蝶結び
のし / あり
包み紙 / 白1枚、または白2枚
表書き / 御祝・祝御初節句・初節句御祝

初節句のお祝いのお礼・お返し

お礼・お返しのしかた

お祝いに招いた場合には、お返しは必要ありませんが、隣近所にはちらしずしやちまきなどを配ります。
また、遠方の方には、礼状とともに人形飾りと一緒に撮った子どもの写真を同封するといいでしょう。

お礼・お返しの適期

お祝いをいただいた直後に。

お礼・お返しの祝儀袋の種類

syugi_cho 水引 / 紅白の蝶結び
のし / あり
包み紙 / 白1枚、または白2枚
表書き / 「内祝」。子どもの名前で。


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