アトピー性皮膚炎の基礎知識

公開日: : 最終更新日:2016/06/12 外用薬, 皮膚科

アトピー性皮膚炎の基礎知識

アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

アトピー性皮膚炎は、かゆみの強い皮疹ができ、それがよくなったり悪くなったりをくりかえすことの多い病気です。いくつもの原因が複雑に関わって引き起こされます。アトピー性皮膚炎にはいくつかの特徴があります。

アトピー性皮膚炎の特徴

  1. アトピー性皮膚炎を引き起こす遺伝的な体質がある
  2. 湿疹がよくなったり、悪くなったりをくりかえす
  3. かゆみを伴い、かくことによって悪化する
  4. 皮疹は左右対称にできることが多い
  5. 皮膚が乾燥している
  6. さまざまな物質に対して、アレルギー反応をおこしやすい
  7. 子どもに多く、成長につれて症状が軽くなる傾向がある
  8. 各年齢層によって症状や、症状が出やすい部位に違いがある

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎を引き起こす原因としては、さまざまなものが考えられていて、大きく分けて遺伝因子環境因子のふたつがあります。アトピー性皮膚炎はもともと遺伝因子をもつ人に環境因子が加わることによって発症し、悪化すると考えられています。

遺伝因子

遺伝因子は、現在のところふたつの要因が考えられています。ひとつは「皮膚のバリア機能が弱い」ということです。バリア機能とは、皮膚の一番外側にある角層が皮膚を保護したり水分を保ったりするはたらきのことです。アトピー性皮膚炎では角質細胞の中の天然保湿因子や角質細胞間にあるセラミド(保湿機能をもつ脂質)の量が健康な皮膚に比べて少なく、バリア機能が弱いことがわかっています。そのため、皮膚が汗などの刺激を受けやすく、また、細菌などの抗原(異物)が侵入しやすい状態になっています。

もうひとつは「外から入ってきた異物にアレルギー反応しやすい」ということです。一般に、アトピー性皮膚炎の患者さんはアレルギー反応に関わるIgE抗体を作りやすい体質をもっています。炎症の経過が長くひどいほど、血中にIgE抗体が増える傾向にあります。ただし、これはアトピー性皮膚炎の患者さん全員にみられることではありません。アトピー性皮膚炎におけるIgE抗体は、気管支ぜんそくなどのアレルギー疾患とは違い、病気を引き起こす直接の原因はないようですが、診断や病気の状態をみるためには役立ちます。

皮膚のバリア形成に重要なタンパク「フィラグリン」

最近の研究から、アトピー性皮膚炎の患者さんの約2〜3割で「フィラグリン」という皮膚のバリア形成に重要なタンパクの遺伝子に変異が認められることがわかり、皮膚のバリア機能異常の原因のひとつとして注目を集めています。フィラグリン遺伝子の変異の発見は、今後のアトピー治療の進展につながることが期待されており、現在も新たな治療法に関する研究が進められています。

環境因子

環境因子は、アレルギー反応が関係しているものと関係していないものに分けられます。アレルギー反応が関係しているものには、ダニ、ハウスダスト、植物、細菌、カビなど特定の抗原(異物)があり、これらによって、アレルギーやかぶれなどが引き起こされます。また、アレルギー反応が関係していないものとしては、汗やホコリによる刺激、強い乾燥、石けんやシャンプーなどの科学的な刺激、ひっかくなどの物理的な刺激、精神的・肉体的ストレスなどがあります。これらはいずれもアトピー性皮膚炎を引き起こしたり、悪化させる原因となるため、悪化因子と呼ばれています。

アトピー性皮膚炎は遺伝するの?

アトピー性皮膚炎は発症には遺伝因子が関係しているため、親子、兄弟で発症することがあります。また、家族が気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎などにかかったことがあったり、食物やダニなどに対してアレルギー反応を示しやすい体質だったりすると、アトピー性皮膚炎を発症しやすいこともわかっています(アトピー素因)。しかし、アトピー性皮膚炎は、遺伝因子だけではなく、さまざまな環境因子も加わって起こるため親がアトピーだからといって必ず子どもが発症するとは限りません。

アトピー性皮膚炎は一生治らないの?

アトピー性皮膚炎は遺伝的な体質も関係していることから、一生治らないと思い込む患者さんもいます。実際、短期間で治る病気ではなく、症状をコントロールしながら、気長につきあうことが必要です。しかし、アトピー性皮膚炎は、一般によくなったり、悪くなったりを繰り返しますが、適切な治療で症状が落ち着いた状態が維持されると、自然に治ることも期待できる疾患です。症状が出るのは一生ではなく当分の間と考え、治療を続けることが大切です。



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