フルニトラゼパム製剤の錠剤色変更の目的は?
公開日: : 最終更新日:2016/06/01 神経内科
着色することで悪用を防止
フルニトラゼパム製剤(ロヒプノール・サイレースなど)の錠剤色が、白色から淡青色に変更となるのは、厚生労働省が企業に対し悪用防止策をとるように要請したことによります。
フルニトラゼパム製剤は協力な催眠・鎮静作用を有する一方で、副作用である一過性前向性健忘を悪用した性的暴力、依存や乱用などが問題となり、厳しい規制をかけている国もあります。例えばアメリカでは、医療用医薬品として承認されておらず、渡航の際の持ち込みも一切禁止しています。
今回の淡青色錠は青色1号を添加し、飲料などに入れた際、色調が変化することで悪用を防止しようとするものです。
錠剤の大きさやデザインも変更
新製剤は白色から淡青色に変わるだけでなく、大きさや識別コードなども変更になります。 ロヒプノール錠とサイレース錠はすでに新製剤の承認を取得し、供給体制が整いしだい、切り替えが進められます。また、後発品(ジェネリック医薬品)についても新製剤の承認申請しており、今後、同様に製剤が変更となる予定です。
フルニトラゼパム製剤 従来製剤と新製剤との違い
従来品 | 新製剤 | ||
---|---|---|---|
ロヒプノール錠1mg・2mg | サイレース錠1mg・2mg | ロヒプノール錠1mg・2mg サイレース錠1mg・2mg |
|
色 | 白色 |
淡青色(内核は青色) |
|
剤型 | 素錠(割線入り) | フィルムコーティング錠(割線入り) | |
使用期限 | 5年 | 4年 | 3年 |
貯法 | 遮光・室温保存 | 室温保存
開封後バラ包装のみ遮光
(PTPはUVカットフィルム使用) |
室温保存 |
調剤・服薬指導のポイント
調剤時のポイント
分割や粉砕によって青くなります。
【対処方法】分包機の汚染や他剤への色移りに注意します。
服薬指導時のポイント
高温多湿な場所で保管すると、青い斑点が現れることがあります。
【対処方法】湿度を避けて保管します。
口の中で溶かしたりかみ砕くと、舌や口の中が青くなります。
【対処方法】口に入れたら、かまずにすぐに水で飲みこみます。青くなっても害はありません。
ぬれた手で触ったり長く持っていると、手が青くなることがあります。
【対処方法】せっけんで洗えば落とせます。
厚生労働省から適切な対応を求める通知が出ています
着色錠への変更に際し、厚生労働省は使用にあたっての留意事項を通知しています。
新製剤は従来製剤との間で生物学的同等性が確認されており、品質、有効性および安全性に変わりありませんが、錠剤色の変更に使用者が不安を感じることも考えられます。着色錠に変更された理由について必要に応じて説明するとともに、効能・効果、用法・用量は変わりなく、これまでと同様に使用できることを充分に説明し、使用者の不安を払拭するよう努めることを求めています。
また、今後もフルニトラゼパム製剤の適正な使用および管理に努めることも通知に示されています。
関連記事
記事はありませんでした